オーダースーツ、オーダーシャツ専門店のサルバトーレベニートです。
フォーマルスーツと聞いて皆様は何を想像されますでしょうか。
ほとんどの方が「黒」のみでイメージが止まってしまうのではないでしょうか。
黒は大変難しい色です。
想像してみてください。
多くの方が黒一色で集まる冠婚葬祭の場において、全員が同じ黒ではないと思われませんか。
冠婚葬祭の黒に求められるのは、自ら艶を発することのない漆黒と呼ばれるものが良しとされます。
たくさんの人の中には灰色っぽい黒や、光っている黒を見ることがありませんか。
通常、ブラックスーツですとドレープ感や艶感も重視します。
また、正式なフォーマルスーツになりますとボタンや裏地まで正統な仕立て方がございます。
今回、オーダー頂きましたフォーマルスーツは、ほぼほぼ正統に則った仕立てとなっております。
画像では少し分かり難いかもしれませんが、大変大きなスーツです。
通常のオーダー店では大寸と称し、割増価格を請求されるレベルです。
当店はどんなに大きな方でも割増料金はいただいておりません。
参考までに、身長約2m、体重約160kg位までの方は複数経験がございます。
大きなスーツを作るにあたり、気を付ける点は袖筒の付け根(アームホール)を大きくし過ぎないことです。
一見、大きい方が楽そうに思われますが、大きく作りすぎると脇の生地を持ち上げ、動きに制約を生じてしまいます。
また、前ボタンが余裕を持って閉まることは当然ですが、それを重視するあまりスソ周りの大きさに弊害が出ないよう考えることも必要となります。
スーツ生地(ウール100%)は基本、伸縮性は望めません。
採寸者は十分な注意をもって採寸しなくてはなりませんし、そういうショップを選ぶべきです。
さて、今回のスーツに戻ります。
オーダー頂いたH様の体型を考慮し、袖筒を前方に移動、背中の幅をやや広めにしてあります。
また、パンツも前下がりで履かれることを前提の補正が施されており、ご希望のあったアジャスターも配しました。
当店のアジャスターはプラス側マイナス側共に8㎝の調整が可能でございます。
採寸者の立場では、アジャスター操作に伴いポケット幅が変化してしまう事もありますが、有用性も認めております。